7/12 『ナトリウムイオン電池、産学官で開発 東京理科大学やGSユアサ』
【鈴木の独り言】
『ナトリウムイオン電池、産学官で開発 東京理科大学やGSユアサ』日本経済新聞, 7/9, 2026
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG076VA0X00C26A7000000/
日本もやっとナトリウムイオン電池開発に組織立って動き出す事になったようだ。少々遅い気もするが、まだまだtoo lateという事でも無いだろう。最近のナトリウムイオン電池を巡る動きは非常に急激に変わっており、半年前と大きく異なっている。半年前には「ナトリウムイオン電池はニッケル水素電池や鉛蓄電池の代替には有効だが、リチウムイオン電池との競合としての存在感が増している。
それも正極の性能向上に拠るところが非常に大きい。負極はハードカーボンほぼ一択だと思うが、正極は層状化合物系、プルシアンホワイト系、そしてポリアニオン系が性能を競っていた。性能を競っていたと言ってもリチウムイオン電池の正極のような容量がなかなか出なかった。層状化合物系では高容量を出そうとすると、ニッケルやコバルトなど、レアメタルを使う必要があり、「リチウムを使わずコストパフォーマンスが高い」という最大のメリットを失ってしまう事になりかねない状況だった。期待されていたのはプルシアンホワイト系の材料だったが合成が難しいと言われ、高容量を出す為の組成を合成するコストの上昇が懸念されていた。
状況が変わったのは、あまり大きな容量が期待出来ないと思われていたポリアニオン系材料が大きく容量を伸ばしてきた事が要因だと思われる。現時点でナトリウムイオン電池の正極市場の7割がNFPP(Na₄Fe₃(PO₄)₂P₂O₇:リン酸鉄ナトリウム)を代表とするポリアニオン系材料だと言われており、セル容量は175Wh/kg(CATL社:天星Ⅱ)に達している。
175Wh/kgというセル容量はLFP系リチウムイオン電池と同等以上となるため、現在、市場の6割以上を占めていると言われるLFP系リチウムイオン電池の市場が一気にターゲットに入ってきた。
今回のコンソーシアムの様な動きで、この変化の大きな市場をしっかり確保していかないと、「ハイエンドだけで大きな商売にならず、ジリ貧となって行く」といういつもの日本の弱点がまた繰り返される事になる。
このコンソーシアムで一つだけ気になる点がある。参加メンバーの一覧を見ると正極活物質メーカーが入って居ない(強いて言えば三菱ケミカルがMUアイオニクスの共同実施者として関与しているが正極はあまり強いと言う印象は無い)。多く参加している学校法人による研究開発を期待しているとすると時間軸が問題に成る可能性がある。

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