6/27 『バッテリーを特殊な溶液に浸すだけで容量が95%回復、電極を「修理」する新技術が登場』
【鈴木の独り言】
『バッテリーを特殊な溶液に浸すだけで容量が95%回復、電極を「修理」する新技術が登場』Gigazine, 6/10, 2026
https://gigazine.net/news/20260610-battery-regeneration/
これは少し前の記事で気になっていたのだが、XenoSpectrumの6/26に再度同じ案件「寿命を迎えたリチウムイオン電池が95%まで回復。特殊な「電気化学の風呂」が変えるEVの未来」という記事も出てきたので、防備録を兼ねてちょっと呟いておく。
この手法の趣旨は非常に面白い発想で、リチウムイオン電池劣化の大きな要因である過剰生成したSEIをリセットしようという発想だ。SEIは主にリチウム、フッ素、電解液の分解物(及び添加剤の反応物)で出来ている。これを液体で分解、洗浄してしまおうという試みだ。
電池の劣化モードは数多く複雑だが、このSEIの過剰生成の占める割合はそれなりに大きいと言って良い。他に、リチウムの副反応による消費、活物質自体の劣化、導電パスの切断、電解液の分解などが挙げられる。これ以外にも数多くあるが、それぞれの現象が大きく関連している部分も多く、一つの原因を潰すと幾つかの劣化が収まるという動きをする。
さて、今回のSEIリセットの方法は電極をセルから「無傷で」取り出し、それを特殊な液中に浸けてSEIを化学的に洗い流すという手法を採っている。この方法の最大の問題点は「無傷に」という点だ。電池を解体したことがある人は経験していると思うが、セルに組み込まれた電極を取り出すと、ボロボロと活物質が剥がれ落ちる事がよく起こる事を知っているだろう。ボロボロと剥がれ落ちる事が無くても、セパレータの表面に電極活物質が張り付いてしまい、剥がすとセパレータ側に活物質が残るという現象がよく起こる。
SEIを洗い流すという処理方法から、この処理は負極に対してより効果を期待しているのだと思うが、この活物質の剥離問題は負極側ほど強く起こる現象だ。つまり、この洗浄処理をそれなりの規模で(量産的に)行なう前段階として、セルの分解、電極の無傷での回収、という非常に厄介なステージをどのように解消するかの方がハードルは高いのではないかと考えて居る。
セルのまま、電解液を効率的に除去し、洗浄液をセル内に満たし、後に洗浄液を除去し、新品の電解液を充填してセルを復活させるという事でもやらない限り、これを現実に使いのは非常に難しいと思う。鉛蓄電池の様に電解液に触媒や添加剤を後から追加して、延命させる商品が売られているが、あんな感じで出来ると良いのだが。

