10/11 「全固体電池で完成車各社が攻勢 早期普及に課題」

【鈴木の独り言】
『全固体電池で完成車各社が攻勢 早期普及に課題』ChosunBiz JP, 10/4, 2026
https://biz.chosun.com/jp/jp-industry/2026/10/04/6TKM53Z6B5CZ5BKHK76O53R7TU/

 このところ全固体電池関連の記事が多く見受けられる。各自動車OEMが、これから2027年にかけて実車に搭載して市場投入すると言っていたタイミングに入ってきたからだろう。しかし、当初期待していた状況とは大きく変わって来ている。一般の電池業界の人々にしてみれば全固体電池とは、容量が大きくなって車の走行距離が伸び、充電時間が驚くほど短縮され、火災も起こさず、電池サイクル寿命も延びるという、正に「夢の電池」だというイメージだろう。
 しかし、実際の所はどうかというと話はそう簡単ではない。容量を上げるためには電解液の固体化だけでは当然、容量など上がらない。容量を上げるには活物質の量、もしくは密度を上げるしかない。全固体電池の場合であれば、金属リチウム負極を使用する為の道具として固体電解質が使えなければ容量は上がらない。また充電速度を上げるにしても、電池の抵抗を下げる必要があるが、電解質の固体化を行なうと液体の電解液に比べるとどうしてもイオン導電性が低下する傾向があり、電池の入出力は単純に全固体電池にしても良くなることはない。固体電解質を使う事で急速充電出来ると言うのは、その耐熱性と大きな関係がある。電池の大きな劣化原因の一つは電解液の劣化だ。固体電解質は高温になっても劣化し難いので、急速充電時の温度許容範囲が広がり、充電時の電池の温度を気にしなくて良くなる。その為、急速に充電出来る様になるというのがその真相だ。電池寿命もこの電解液の温度とサイクルによる劣化が抑えられるために長くなるという理由だ。固体電解質は液体電解液に比べ、燃焼性は圧倒的に低い。電池の不燃化、難燃化には大きく貢献出来る。この辺の誤解が意外と多く、全固体電池が単純に夢の電池という訳では無いと言うことが解っている人が少ないと感じて居る。
 市場投入に於ける最大の障壁はコストだろう。電池は超低露点ドライルームで製造する必要があり、生産速度も今のウエットプロセスの電池よりも遙かに低くなりそうだ。材料自体もまだまだ高価で、普通のリチウムイオン電池の3倍から10倍程度の電池コストになると言われている。CATLが非常に厳しいコメントを出しているのも頷ける。それでは少しずつ前に進んで行かなければこの技術は日の目を見ない。ゲームチェンジャーとなるためには製造プロセス、材料コスト、生産速度を現行液系リチウムイオン電池に近づけて行けるかどうかだろう。