6/23 『EV革命のカギ?リチウムイオン電池そっくりに作ると「ナトリウム」でも同等性能で安い』
【鈴木の独り言】
『EV革命のカギ?リチウムイオン電池そっくりに作ると「ナトリウム」でも同等性能で安い』Gizmode, 6/20, 2026
https://www.gizmodo.jp/article/sodium_ion_batteries_tesla/
この記事が書いているナトリウムイオン電池(SiB)に対する評価と、私の持っているナトリウムイオン電池に対する印象は幾つかの点以外はほぼ同じで、よく纏まった記事だという印象だ。
記事では「ドイツ・アーヘン工科大学の研究チームが、中国のバッテリーメーカー「Hina」製のナトリウムイオン電池を徹底解剖した」とあるが、その結果、内部の構造はテスラのリチウムイオン電池(LiB)とほぼ同じだったとの事。
さて、私と見解を異にする「幾つかの点」とは、記事でリード研究者のモーリッツ・シュッテ氏が言っている「低温環境での充電性能と高エネルギー密度への対応」が課題だとする点が大きく違う点だ。
この時に調べたHina Battery 製SiBがそうだったという話である可能が高いが、一般にもSiBのメリットは「低温特性が優れている点」だと言われている。実際、最近の中国の電池関連展示会では各SiBメーカー、自動車メーカーがその低温時の性能をアピールしている。
この記事では低温性能が良くないという評価だったが、なぜそういう評価になったかという点が重要だと考える。恐らくこのSiBは「リチウムイオン電池そっくり」という通り、材料構成、特に電解液組成もLiBに近い物を使っているためだろうと考えている。低温特性をアピールしていたSiBは(公表されていないが)ニトリル系電解液のような、LiBでは使えなかった低温特性を向上させる手法がいくつか使えるのが大きな特徴となっている。
もう一つ、大きな意見の相違があるのは「高エネルギー密度への対応が課題」としている点だが、最近のSiBのエネルギー密度はLFP正極/黒鉛負極のLiBと10%も違わない。つまり、もう充分手が届くところまで来ている。そのときにNi, Co, 等のレアメタルを使ってしまうと元の木阿弥なのだが、最近のNFPPのようなポリアニオン系正極材料のではその様な金属の使用が無く、エネルギー密度も非常に高い。CATL社の天星Ⅱ型のSiBもこの様な正極を使用している可能性が高く、公表されたエネルギー密度は175Wh/kgとなっている。これはLFP系LiBの160Wh/kgという電池のエネルギー密度と同等以上となっている。
技術の進歩が非常に早く、この高エネルギー密度+低特性という武器は非常に強く、現在、市場を席巻しているLFP系電池のシェアを喰っていく可能性が出てきたと思っている。


