6/16 『「奇跡の全固体電池」はリチウムイオン電池だった――Donut Lab疑惑、電気化学的証拠が決定打に』
【鈴木の独り言】
『「奇跡の全固体電池」はリチウムイオン電池だった――Donut Lab疑惑、電気化学的証拠が決定打に』XenoSpectrum, 6/9, 2026
https://xenospectrum.com/donut-lab-solid-state-battery-fraud-lithium-ion/
以前、この独り言で呟いていたが、Donut Labの全固体電池がどうやら嘘だったという話が話題になっている。呟いたとき(1/16, 2026投稿)には『これが本当なら本当に「すごい電池」である』と言っているが、どうやら『本当ではなかった』という事が分かってきた。
全固体電池のメリットは大きく、様々な媒体で紹介されている通りだが、期待感の一方で大きな現実との乖離があり、その問題解決に数多くの大手企業からスタートアップまで日々努力をしている。
電池業界で(電池業界に限らないとは思うが)常に懸念している点がある。それは資金調達のために「過剰に成果を強調する」風潮がある事だ。宣伝を目的としたプレスリリースは、当然存在意義があると思うが、そこに嘘が入り込むと詐欺の温床になりかねない。これは厳格に取り締まるべき物である。
Donut Labの全固体電池について、それが詐欺なのかどうかはここでは言及しないが、今回の全固体電池の謳い文句はあまりにも「素晴らしすぎ」た。エネルギー密度は400Wh/kgに達し、11C充電が可能、電圧は4.2~2.5V(つまり平均で3.6Vが期待出来る)、サイクル寿命が10万サイクル、セルのコストは現行LiBより安価、加圧不要、材料が特殊ではない、というこれまで全固体電池の開発者が苦労してもなかなかクリア出来ていない性能を全てクリアしてきたとアナウンスされていた。一方で電池の詳細は全く公表されず、検証されていないという状況だった。
そうなると電池に詳しい人は「どうやって?」「何を使って?」と疑念を抱いてきたという状況だ。そんな中で、Donut Labが外部機関で行なったテスト結果が公表され、それによって更に疑念が増幅してしまうと言う結果になった。根本的な解決手段に言及しないだけではなく、そのテストコンディションや電池のサイズすら公開しないという、およそ真っ当な開発者ではあり得ない「宣伝」に走ったという印象だ。良い結果で疑念を払拭しようと試みた結果、専門家が見ればおかしな所が山ほど掘り返される結果となったわけだ。
どのような点が暴かれてしまったのかという事についてはこの記事を参照して貰いたい。要するにテストに使われたサンプルはただの液系電池、一部固体電池(半固体電池?)など、チェックされる性能に合わせて中身を変えていたのではないかという事だ。
非常に残念な事例となってしまったが、この様な資金集めに必死になり過ぎる事で、おかしなアピールをする物が増えない事を祈っている。


