5/14 『ソフトバンクが堺にギガファクトリー、国産の燃えない水電池を2027年度に量産へ』

【鈴木の独り言】
『ソフトバンクが堺にギガファクトリー、国産の燃えない水電池を2027年度に量産へ』MONOist, 5/13, 2026
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2605/13/news061.html

 ソフトバンクの亜鉛ハロゲン電池の記事だが、ギガファクトリーの計画をオープンにしたと言う内容だ。この亜鉛ハロゲン電池は正極にハロゲン(ヨウ素、塩素、臭素)を単体として使う事が一般的で、負極に亜鉛(メタル)を使う。記事の挿絵にはI、Cl、Brが書かれている。この技術を詳しく説明している文献(「亜鉛ハロゲン化物電池、ソフトバンクが韓国新興企業と実用化に 技術解説」日本鋳造工学会, 5/4, 2026)によると臭素を使う事が一般的なようで、セル電圧は1.8V前後となる。放電状態では臭化亜鉛の水溶液となっているが、充電動作で亜鉛と臭素に分かれ、正極で臭素単体に戻り(臭素は常温で液体)、そのままでは扱いにくいので有機物との錯体を作らせて安定化しているようだ。負極は亜鉛金属が析出してくるので、リチウムイオン電池の金属リチウム負極と同様に亜鉛デンドライトのコントロールが重要な技術となりそうだ。正極のハロゲン(臭素)が負極に接触すると臭化亜鉛を再生産してしまい(シャトル効果)、自己放電してしまう。その為、セパレータは亜鉛イオンを通し、臭素イオンを通さない必要がある。挿絵を見るとセパレータ部分に「分離膜」と書かれているがこの膜自体に臭素錯体のブロックをしているのではないかと推定している。

 この電池のエネルギー密度は明確に示されていないが、LFP電池の蓄電用途を競合としているところから、~150Wh/kg程度の物になるのではと思われる。材料としては亜鉛の重量が気になる所だ。若干低体積エネルギー密度で重量がかさみそうだというところから、ターゲットが定置型(データセンタ用)となっている事を考えると妥当なところだろうと思われる。

 安全性は、水系電解液であることから可燃性は無いので、かなり安全だと言って良さそうだ。少なくともリチウムイオン電池のような爆発的な燃焼は無い。一方で臭素や塩素はそれなりに危険なので電解液の漏洩が起こった場合のリスクは考慮が必要だ。ハロゲンは一般に腐食性が高く、セルの材料に配慮が必要だと考えられる。計画通りここから新型の電池が出てくる事は楽しみだ。

 ソフトバンクはそのリリースで、この亜鉛ハロゲン電池の他にも、リチウムイオン系全固体電池、リチウム硫黄電池などの開発も行なっており、この工場で作っていくことになるのか注目していきたい。