3/19 『全固体二次電池の「200℃動作」を実演、日本電気硝子』

【鈴木の独り言】
『全固体二次電池の「200℃動作」を実演、日本電気硝子』
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2603/18/news081.html 

 ここ数年、いや10年近くになるか、全固体電池の話題は相変わらずメディアを賑わせている。こうやってニュースを見ていると期待の大きさが分かるが、その一方でなかなか実用化出来ず、業界の技術者は苦慮しているというのが伝わってくる。その辺の話はセミナー等を聞いてい頂きたい。この記事もそうなのだが、一般には非常に分かりにくい事態になっている点について呟こうと思う。

 こうやって見ると実は「全固体電池というのは2種類ある」という点が、あまりちゃんと説明されていないのだなと思われる。ここで言う「種類」は硫化物系、酸化物系という固体電解質の話ではない。電池の使い方と言った方が良いかも知れない。その分野の要求特性によって材料、要求特性、性能が大きく異なるのは当然の事だろう。

その2種類の用途の一つ目は、一般の人がイメージしやすい「大型全固体電池」を使う用途だ。車載、定置型、モバイル機器、スマホ、PCなどだ。「え?車載とスマホが一緒?」と思うかも知れないが、そこそこ大きな容量を必要とする分野だと思って貰えば言い。この分野は大きな総容量(0.1Ah~数MAh)を必要としていて、これまでは、小型、大型などと言う分類がされている、現在、最も大きな市場を占めている分野のことだ。ニュースなどでよく目にするリチウムイオン電池は殆どがこの話だ。

 もう一つの分野は産業機器などの部品として供給されている「超小型」の電子部品レベルのリチウムイオン電池だ。この分野の特長は容量は小さいが、期待される使用電力も非常に小さいのでコイン電池や小型円筒形などの形状で、数mAh~数百mAh程度の容量である。メモリーのバックアップや小型の回路へのエネルギ-供給に使われ、基板実装されて使われる為、はんだ耐熱が期待される用途である。

 この二つの電池の大きな違いは、大きさの他に「耐熱性」がある。一般的なリチウムイオン電池の対応温度範囲は-30℃~65℃程度となる。この範囲であれば非常に優れた性能を示す現行のリチウムイオン電池だが、後者の用途では、動作温度も100℃程度であり、なによりはんだ付けの温度の耐熱(250~300℃)が期待される。つまり、これまでのリチウムイオン電池では対応出来ない分野だった。これは直接的には、電解液とセパレータの耐熱不足が主要因だ。

 そうすると後者は高耐熱の電池が必要になる。これまでは容量が少なくても比較的耐熱が高いキャパシタを使ったり、耐熱性の一次電池を使ったりという分野だった。そこで、容量は十分に確保でき、耐熱性が高い「全固体リチウムイオン電池」が期待される事になる。容量はさほど必要ないため、耐熱性とサイクル特性が最も期待される性能となる。

 この記事の電池はこの後者のような用途に向けた電池あり、車載用の全固体電池の様な容量を期待される用途の物ではない。これを混同している、若しくは明確なせつめいがされておらず、性能が上がったと言うところだけにフォーカスした記事を時々見かける。読む方も「ターゲット市場がどこか」を意識してみる必要がある。