3/14 『Donut Labの全固体電池は「本物」か:第3次検証が暴いた物理的挙動と残された最大の謎』
【鈴木の独り言】
『Donut Labの全固体電池は「本物」か:第3次検証が暴いた物理的挙動と残された最大の謎』
https://xenospectrum.com/donut-lab-solid-state-battery-vtt-test-analysis-2/#google_vignette
全固体リチウムイオン電池業界で今、最も話題になっていると言っても過言ではないのがこのドーナツ・ラボの全固体電池だ。1/16に関連記事について呟いたが、その後、このドーナツ・ラボの依頼を受けた「フィンランドの国立VTT技術研究センター」がテストを実施し、その性能を「第三者機関として」評価している。その記事がいくつも確認できるのだが、確かにこのセルの性能で問題点が見つからない。一方で記事の多くは「セル自体の情報(寸法、重さ、固体電解質の種類など)情報が無い」、「測定条件の開示が無い」などの問題点を指摘している。
そんな業界の反応の中で「キャパシタじゃないか?」という疑惑があるが、それを払拭する為の評価として今回のSOC50%での放置試験の結果を公開している。この試験結果によると、充電後10日間の放置で電圧の低下が殆ど無い事をその理由としている。確かにEDLCの様なキャパシタでは充電後の電圧低下はリチウムイオン電池系よりも遙かに大きくなる。先に公開された充放電カーブを見てもキャパシタでは無いと言えそうだ(と言うより充放電カーブだけで放置試験など不要だったのでは?)。強いて言えばリチウムイオン電池キャパシタ(LiC)であれば充放電カーブも似たような挙動になると思われる。
さて、これまで公表されている結果についてはそれなりに良好な性能の電池である事が分かる。しかし、本当に同じ仕様の電池でそれぞれのテストを行なったのかという点に於いて、多くの記事では疑いの目を向けている。
やはりこれらのう難いが消えないのは、次の点だろう。先ず何より、試験に供した電池のサイズ、重さが全く公開されていない事が問題だ。明確な容量エネルギー密度の算出があえて出来ないようにしていると思われても仕方ないと思う。そしてこの一連の評価は同じスペックの電池で行なわれているのか?という点である。これも数多くの記事が指摘している。
充放電のデータは液系電池(若しくは半固体電池)で取得し、急速充放電は極めて電極密度の低い電池(若しくは薄い電極)で評価し、耐熱試験は全固体電池で実施し、サイクル特性は半固体電池で評価すればこの様な結果は作り出せる。
勿論、非常に優れた設計で同じスペックのセルでこの評価結果を得ている可能性も否定出来ない。そうであればこれは全固体電池の革命的進歩だと言える。その為にもこれらの疑問には明確に回答して貰いたいと思っている。
容量は350~400Wh/kgと言う話なので、負極がシリコンか金属リチウムであると最近の全固体電池関連のOEMメーカーの記事からも分かる。そうなると、拘束力ゼロで充放電が出来るという話から負極はスポンジシリコンのような体積変化が比較的緩い活物質ではないかと思う。しかしスポンジシリコンでは液の介在無しでリチウムイオンを均等に負極に届けるのは容易ではない。正極もこの容量を達成する為にはNCM系である可能性が高い。電解質は耐熱温度と、レート特性が高い事から硫化物系を使っているだろう。やはり容易な技術ではないので、本当にどのような技術でこの性能を「全て」出しているのかは非常に興味がある。説明が出てくる事を期待している。


