10/29 「液体電池」を海上輸送へ、元ソニーの開発者 エネルギー密度はLIB並み

【鈴木の独り言】
『「液体電池」を海上輸送へ、元ソニーの開発者 エネルギー密度はLIB並み』日経XTECH, 10/22, 2026
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/03181/100800040/

 液体を活物質とする電池の代表的な例としてはレドックスフロー電池がある。バナジウムを含む溶液を使ってバナジウムのイオン価数の変化(酸化還元=redox)を利用して充放電する電池である。レドックスフロー電池については別途、調べて頂きたいが、他にも幾つかの例が知られている。
 この記事の「液体電池」はそんな電池の新しい形で、その活物質となる液体は水素吸蔵合金の微分散液(コロイド溶液?)を負極、大気中の酸素を正極とする電池である。燃料電池に近い反応と思われるが、その液体の負極を可搬とする事で、エネルギーの輸送を容易にするという考え方の電池だ。溶液型の金属空気電池と異なるのは溶液となっている金属は反応に寄与せず、あくまでも水素の貯蔵が役割である。
 面白い点は、この水素吸蔵合金の分散液は水素を常温常圧で大量に運搬出来る点で、その上でレドックスフロー電池よりもエネルギー密度が高いという点を強調している。しかし、確かに活物質となる液だけの重量であればその通りだろう。ここで重要なのは電池システム全体の重量や体積で割り返したエネルギー密度を考えて密度の高低を論じるべき話だと思う。リチウムイオン電池と同等以上にしないと遠方のエネルギーを持ってくる意味が無いという話だ。
 水素吸蔵合金はレアメタルの塊と行っても良く、この液体が繰り返し何回使えるかという点も非常に気になる所だ。
 それらの疑問はさておき、水素を搬送するには高圧の水素タンクに押し込むか、水素吸蔵合金として常温常圧貯蔵したものを搬送するか、メチルシクロヘキサンを常温常圧搬送する(MCH法)か、であった。それらに比べて扱いやすさや安全性で大きなメリットがあるものだと期待出来そうだ。この特長に合った上手い使い方を考えれば期待は大きいと思う。