2/22『シカゴ大、有害な溶剤を使わないEV用電池の製造法で性能も向上すると発表――カーボンと接着材の相乗効果を発見』

【鈴木の独り言】
『シカゴ大、有害な溶剤を使わないEV用電池の製造法で性能も向上すると発表――カーボンと接着材の相乗効果を発見』
https://fabscene.com/new/news/uchicago-dry-electrode-lithium-ion-battery-conductivity-high-voltage/ 


 ここ数年、ドライプロセスの話題が増えてきている。注目度もあるが、全固体電池の製造方法としても注目されている。
 Polymer Fibrillation (繊維化)と Dry Spraying Deposition(粉体塗装)の2種類の方式が有望視されている。


 この記事のポイントはドライ「電極が出来た」と言う事ではなく、「バインダーと導電助剤の相乗効果が見つかった」という物である。私はバインダーの理解について、かねてより「塗工法(ウエット法)でリチウムイオン電池を作った場合、バインダーと導電助剤は一体化して電極内で存在し、導電性接着剤として働いている(実は電解液が入ると膨潤し、イオン導電性も出てくる)」と言い続けている。

 ではドライプロセスではどうなのか?これはよく分からない状態だった。記事の写真に写る装置はロールプレスなので、ここで実施されている方式は繊維化法であり、バインダーはPTFEであろう。そしてこの記事にリンクされている論文のabstractを見ると「繊維状炭素とバインダーの分子レベルの結合を利用して効率的な電子伝導を促進し、高電圧界面劣化を抑制する乾式処理電極アーキテクチャを設計」とあるので、導電助剤はCNTだと推測される。他にも「99 wt%を超える活物質」とある事から、バインダーと導電助剤の合計が1%未満である事が分かる。この添加量で繊維化方式のドライ電極が出来ていることが驚きだ。これまで<2%のPTFE添加量は殆ど聞いたことがない。
この処方と性能が量産で実現できるならば今後増産される電極プロセスはドライプロセスがかなり増えてくるだろう。


 気になるのはバインダー(PTFE)とCNTの相乗効果であるが、これは非常に細い繊維同士が絡み合ってこの性能を維持するのか、テキスタイルの様に両者の接点が多数出来て、その効果による物か。この辺は中身を読まないとダメかな。
 テスラが負極ドライ電極を投入して以来、しばらく正極は塗工電極だった理由が様々言われているが、私は導電助剤が動いてしまい、サイクル性能が出なかった事が最大の理由では無いかと考えて居る。テスラが買ったMaxwell社のパテントは「PTFEに少量の熱可塑性バインダーを混ぜる」ところが新規性であり、単純に繊維化PTFEシートでは昔からある技術という事になる。テスラから最近出たと言われている(本当かどうかは未確認)正極のドライ電極のバインダーがどうなっているのか非常に楽しみである。